Kpopアイドルのオタクが発する「尊い」の語源を勝手に作ると

 ”同じ顔で同じ音楽”傍から見ればそのように揶揄されることも少なくないKpopの世界。

 

しかし、10組いれば10通りの輝きがあるように、私たちファンにとってはそれぞれのアイドルが全く異なった輝きを放っています。まさに十人十色ですね。

 

煌々と輝くポップの世界に迷い込み、立ち止まり、そして、一本の閃光に導かれるようにして辿り着く場所。そこから、全ての物語は始まるのです。

 

その壮大でありながらも突如として消えてしまいそうな刹那の世界を共有することが、私たちをKpopアイドルのファンたらしめる要素のひとつではないでしょうか。

 

Kpop界隈でよく耳にする「推せるときに推せ」というのは、決して寿命の長くはないアイドルの活動を考慮した文言であり、それは長いようで短い”物語”を端的に示唆するものでもあります。その物語の価値は計り知れない。というより、計る対象でもない、というのが正しいか。

 

音楽が好き。ダンスが好き。容姿が好き。世界観が好き。人柄が好き。チームワークが好き。。。とにかくノムノムサランヘヨ‼‼

 

いわゆるアイドルに ”はまる” きっかけは人によりけりですが、好きなアイドルグループに関わらず、そのアイドルと自分との間に紡ぎ出されるかけがえのない物語には、ある種の普遍性が存在するように思います。

 

アイドルがデビューより現在に至るまで懸命に駆け抜けてきた道のり。自分自身が彼女ら、彼らと巡り会ったときに感じた、あの胸のときめき。楽曲やパフォーマンスを軸に創り出される夢のような世界観。

 

その全てを一心に感じながら、イベントやコンサート、そしてvliveやyoutubeなどの動画媒体を通してアイドルと共に ”過ごした” 時間は、まさにアイドルとファンとの間を繋ぐ唯一無二の物語だと言えるでしょう。

 

なかでも音楽番組で初めて1位を獲得した瞬間や、自分がそのアイドルのコンサートに初めて行った時のことを鮮明に覚えている方は多いのではないでしょうか。

 

そうした物語の集積が、舞台の上でこれでもかと躍動するアイドルの姿と重なる瞬間。絶叫したいほどの感動と興奮が全身から湧き上がってくるのです。

 

ファン「……。(ぅぅぅんじゃごの感情は!!!とめどなく溢れてきやがる!!!!溺れそうだあぁぁっっ…)

 

ノアの方舟の洪水神話にも負けるとも劣らない神秘的な体験をしてしまったファンにとって、アイドルと自分との間に紡がれた大切な物語たちは、もはや『バイブル』へと変容してしまう。感情の防波堤が決壊して涙の大洪水が起こるレベル。

 

そのいわばバイブルを手に持ったオタクたちが、自分が絶対にたどり着けない境地にいる神を崇拝するかのように、定期的に ”推し” のアイドルに向かってついつい漏らしてしまう言葉が「尊い」なのだと思います。

 

とうと・い  たふとい【尊い・貴い】(形)① 身分・品位などが高い。高貴だ。たっとい。「ー・い身分のお方。」② うやまうべきさまである。たっとい。「ー・い高僧。」「父母を見ればー・し、妻子(めこ)見ればめぐし愛(うつ)くし/百八00」③ 自分と偶像(あいどる)との精神的距離をつなぐ掛け替えのない刹那の物語が彼ら・彼女らの至極の演技によって神格化され、その物語自体が崇拝すべき聖書(ばいぶる)としての性格を帯びた時、届きそうでありながらも絶対に届くことのない神様のような対象としてあいどるに向かって無意識下で漏らしてしまう、畏敬の念や感謝の意を含んだ言葉の類である。「今日も推しが ー・い。」

 

御一読ありがとうございました。

 

*上の「尊い」の意味のうち①、②、は大辞林から引用しました。